旅するナラティヴ――中世ヨーロッパの移動と語りの魅力
旅するナラティヴ――中世ヨーロッパの移動と語りの魅力
中世の旅と物語の交差点
中世ヨーロッパにおいて、旅は単なる移動ではなく、文化や思想の交流の場でもあった。巡礼者、商人、騎士、学者たちは国境を越え、異文化と交わりながら新たな物語を紡いでいった。
本書の魅力
『旅するナラティヴ 西洋中世をめぐる移動の諸相』は、こうした中世の移動と語りの関係を多角的に分析する一冊。巡礼記や旅行記、中世ロマンス、聖人伝、年代記など、さまざまなジャンルの作品を通じて、移動がどのように物語に影響を与えたのかを探る。
章構成
本書は以下の4部構成で、中世の移動と語りの多様性を浮き彫りにする。
- 第Ⅰ部「聖なるものと旅のナラティヴ」:巡礼記や聖人伝を通じて、宗教的な移動の意味を考察。
- 第Ⅱ部「越境とアイデンティティ」:言語や文化の交流がアイデンティティ形成に与えた影響を分析。
- 第Ⅲ部「異端と正統の境界」:宗教的・思想的な移動がもたらした変化を探る。
- 第Ⅳ部「マテリアリティからみる移動」:写本や初期刊本の伝播を通じて、知識の移動を考察。
まとめ
本書は、中世ヨーロッパの移動と語りの関係を深く掘り下げることで、現代の文化交流やアイデンティティの形成にも示唆を与える。歴史や文学に興味がある読者にとって、必読の一冊となるだろう。