19世紀の日本と世界の交錯――『「連動」する世界史』が描く歴史のダイナミズム
19世紀の日本と世界の交錯――『「連動」する世界史』が描く歴史のダイナミズム
世界史の中で読み解く日本の変革
19世紀、日本は激動の時代を迎えていた。幕末から明治維新へと続くこの時期、日本は単なる国内改革にとどまらず、世界史の潮流の中で変革を遂げていった。南塚信吾著『「連動」する世界史 19世紀世界の中の日本』は、この視点から日本の歴史を描き出す。
明治国家の形成と世界史の潮流
本書では、軍制や学制、国家と国境の概念、外交と条約の概念、選挙と議会制を含む憲法の理念、ネイションとナショナリズム、植民地分割の論理、植民地支配の方式などが、世界史の流れの中でどのように日本に土着化していったのかが詳細に論じられる。
例えば、アヘン戦争やクリミア戦争、ヨーロッパの1848年革命など、世界各地で起こった出来事が日本にどのような影響を与えたのかを分析し、日本の「開国」が単なる国内要因ではなく、国際的な緊張関係の中で進められたことを明らかにしている。
「連動」する歴史の視点
本書の特徴は、日本史を単独で捉えるのではなく、世界史との相互作用の中で理解する視点にある。明治維新は単なる国内改革ではなく、国際社会の動向と密接に関わっていたことが、本書を通じて鮮やかに浮かび上がる。
また、19世紀の日本がどのように「国民国家」としての形を整え、世界の帝国主義の波にどう対応したのかも詳しく論じられている。日清戦争や日露戦争が、単なる日本の戦争ではなく、世界史の中でどのような位置を占めていたのかを理解することができる。
歴史を「連動」させて読む
『「連動」する世界史』は、日本史をより広い視野で捉えたい読者にとって必読の一冊だ。歴史は単独で存在するものではなく、世界の動きと密接に関わりながら展開していく。本書を通じて、19世紀の日本がどのように世界と関わりながら変革を遂げたのか、そのダイナミズムを感じ取ってほしい。
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19世紀世界の中の日本をみる
本 ISBN:9784000283847 著者:南塚信吾 出版社:岩波書店 発売年月:2018年11月 サイズ:254P19cm 部分位置:人文≫世界史[世界史その他] 作品タイトル:レンドスルセカイシジユウキユウセイキセカイノナカノニホン19セイキ/セカイ/ノ/ナカ/ノ/ニホンシリ-ズニホンノナカノセカイシシリーズ 日本の中の世界史 登録日:2018/11/16