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ミハイル・ブルガーコフ『犬の心』とレーニンの最後の闘争を読み解く――奪われた革命の真実とは?

ミハイル・ブルガーコフ『犬の心』とレーニン最後の闘争を読み解く

2022年11月、未知谷から刊行された『奪われた革命 ミハイル・ブルガーコフ『犬の心』とレーニン最後の闘争本』(石井信介 著)は、ロシア文学とソビエト革命史を巧みに絡めながら、革命の「奪取」とその後の闘争を独自の視点で捉え直す一冊です。

ブルガーコフの『犬の心』とは?

『犬の心』は、20世紀ロシアを代表する作家ミハイル・ブルガーコフによる風刺文学の名作。人間と犬の融合を通して、革命と社会変革の矛盾、そして権力構造の滑稽さを鋭く暴き出しています。

レーニン最後の闘争――歴史の表舞台に出なかった物語

石井信介氏は、レーニンの晩年に焦点を当て、彼が直面した内外の政治的対立や病魔との闘いを考察。ブルガーコフの文学作品と交差させることで、革命の理想と現実のギャップを浮き彫りにしました。

なぜ今、この本を読むべきか

革命の光と影を理解することは、現代社会の政治的動向や権力構造を読み解く上でも重要な示唆を提供します。本書は単なる歴史書や文学分析にとどまらず、過去と現在をつなぐ洞察に満ちています。


本書を手に取り、「奪われた革命」の真実に触れてみてはいかがでしょうか。


『レーニンの遺言は破棄された?』

# 躍動する革命と文学

ロシア文学を彩る作家、ミハイル・ブルガーコフの名作「犬の心」がもとになっている本を紹介します。「犬の心」は、十月革命を経て、世界最初の社会主義国が誕生しようとしていたロシアで、犬が人間に改造されるという、SFのような話を通して、人間の本質について問いかける作品です。

同書の著者である石井信介氏は、「犬の心」に描かれたスピリチネのような主人公は、ある種のロシア人に共通する抑圧と反抗の精神を内包しているのではないかと考えています。

同書では、「犬の心」が書かれた当時のロシアの歴史的背景についても詳細に解説されています。レーニンが死に際して残したメモがのちに「レーニンの遺書」と呼ばれ、「スターリンを排除するべき」という内容が明らかになるなど、当時の政治情勢を知る上で非常に重要な内容になっています。

本書の序文には「米国で亡命中のロシアの作家と哲学者であるミハイル・エプシュタイン氏が寄せた評が掲載されており、「本書は一つの『物語』です。石井氏が持つ物語性は、ロシアの歴史と文学を、物語ることに成功しています」と高く評価しています。

ロシア文学ファンや、文学と歴史に興味がある方に、ぜひおすすめしたい一冊です。